あれやらこれやら30周年(その3)

アーケード版「グラディウス」には2つのバージョンがある、という話の続きです。
(かなりマニアックな話なので聞きたくない人は引き返して下さい(苦笑))

↑:「グラディウス」の基板(バブルシステム版)

↑:「グラディウス」の基板(ROM版)
アーケードゲームにはそれを動かすための「基板」(家庭用ゲーム機で言えば本体とゲームソフトが一緒になったようなもの→ゲームを入れ替えるにはこの基板ごと入れ替える必要がある)が必要なのですが、その基板にオリジナル版と改良版が存在するということです。
革命的内容だった「グラディウス」ですが、あれだけの表現を実現するためには当時としては破格の大容量データが必要でした。
お金をかければいくらでもハイスペックに出来るのですが、「商品」としては儲けてなんぼ、大赤字を出していては意味がありません。
そこで安価に大容量のデータを扱えるようにするため、「グラディウス」には「バブルシステム」と呼ばれる機能が採用されました。
ところがこの「バブルシステム」、確かに安価に大容量データを扱えるのですが、あまりにも壊れやすいことでも有名でした(私の事務所の顧問先の方で昔から電機関係の仕事をされている方がゲーム以外の分野で昭和60年頃に一瞬「バブルシステム」と同類のシステムが流行っていた、とおっしゃってました・・・がやはり脆弱性が問題になりすぐ廃れたとのことです→バブルシステムは「磁気バブルメモリ」を使用していましたが、日本では富士通が製造していましたので他分野でも使用されていたそうです)。
ところが「グラディウス」は特大ヒットになってしまい、メーカーのコナミにも故障で修理持ち込みが増加したため&数年後には技術の進歩で「バブルシステム」でなくても安価で大容量データが扱えるようになったので、2段重ねになっている基板の上半分を一般的なシステムに変更して壊れにくくなった改良版が出回るようになりました。
今日では便宜上バブルシステムを使った基板を「バブル版」、改良版を「ROM版」と呼んでいます。
バブル版の特徴は、電源を入れてからゲームが遊べるようになるまでに時間がかかる、ということです。信じられないかもしれませんが、本当に「暖機」、つまりプログラムを基板本体に転送するに当たってカセット内の「磁気バブルメモリ」を温めて一定の温度になると転送が始まって起動する、という仕組みになっているんですよ・・・。若い人にはそもそも「暖機」って何それ?でしょうね。
具体的な起動までの流れは、電源を入れると「Presented by KONAMI」「Getting Ready ○○」という音声が流れます。「○○」の部分は50から始まるカウントダウンで、冬場等気温が低い時はカウントが0まで行くと再び「Presented by KONAMI」「Getting Ready 50」という具合にカウントダウンが続きます。ようやく温まると、下記の画面が出てきます。

この画面が表示されている間にプログラムが転送されます。この時に流れるバロック調のBGMは「コナミ モーニングミュージック」(以下「モーニングミュージック」)と呼ばれています。
この画面を表示する際急遽BGMが必要になり没曲を引っ張り出してきたとのことですが、没曲にしては、というのも憚られる名曲だと思います。
実際「グラディウス」がゲームセンターで稼働していた頃この曲は開店直後でないと聞けなかった(だから「モーニングミュージック」なんですよ)ので、熱心なファンは開店と同時に「グラディウス」の筐体にラジカセ(←:これも若い世代の方にはわからないかも。ラジオとカセットデッキ(当時の録音/再生はカセットテープが主流でした)が一緒になった電気機器)片手に突撃してスピーカーから流れる「モーニングミュージック」を録音していたものでした。
ちなみにROM版でも「モーニングミュージック」は流れるのですが、読み込み速度が速いのであっという間に終わってしまいます。
じっくり聞きたいファンはバブル版が欲しいと思うのですが、正に文字通り泡のように壊れやすいんですよねえ・・・。
あとバブル版の特徴として、アーケードゲームではあまり使うことのない-12V電源が必要、ということも挙げられます。
普通アーケードゲームでは+5Vと+12V、たまに-5V電源が必要になるのですが、「グラディウス」はこれら3つに加えて-12Vが必要になるというわがままというか贅沢な仕様になっています。とにかく起動させるのも一苦労という訳です。
勿論ROM版では-12V電源は不要です。
時は流れて今も尚熱狂的ファンが多い「グラディウス」、やはりこだわるファンは本物の「グラディウス」の基板が欲しい、と思っているみたいで、最近ではネットオークション等で激しい争奪戦が繰り広げられるようになりました。
実はアーケード版「グラディウス」は家庭用ゲーム機向けにかなり再現度の高い移植版が発売はされている(初代プレイステーション/セガサターン/ウィンドウズ95/プレイステーション4→これはほぼ問題ないくらいの移植度だと思います)のですが、残念ながら細部に相違点があってマニアにはそれが認められないあるいは許せないんですよねえ。その気持ちはよくわかるのですが、いくら何でもその値段はないだろう・・・という落札価格が付いています。
特に壊れにくいけど出回っている数が少ないROM版は最近では軽トラックが買えてしまう値段になっていたりします・・・(facebookの記事ですが参考までに→https://www.facebook.com/cocktailcabinet/posts/647275572043995)。
更に最近では手に入れても壊れる可能性が高いバブル版の値段も6桁台に突入したりしています・・・おお、つい先程157,300円(←:「コナミ」の語呂合わせ)で落札されたよ・・・。
・・・ネタ話は明日になりますね。ここまで説明をしておかないとわからない内容かもしれませんし。
という訳でもう少し続きます。
続きを明日語れるというのは実はちょうどいいことなのかもしれませんね(って最初からそのつもりだったんだろ、とマニアからは突っ込まれそうだけど(苦笑)→何を言おうとしているかは明日わかります!)。

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